エリちゃん
わんこ先生
犬が顔を舐めるのをやめさせる2つの方法
愛犬にお留守番をさせて外出したときなど、帰ってくると一目散に飛んできて口の周りや顔じゅうをペロペロ舐め回されることがあると思います。
熱烈な歓迎ぶりにかわいいと思う反面、このように思うままに顔を舐めさせて大丈夫なのかと考えてしまうのではないでしょうか。
他にも、愛犬が大好きな人が来客で訪れたときに、その人の顔を舐めようとして一生懸命飛び付いていたり、その人が座ったとたんに顔をペロペロ舐め始めたときに、やめさせたほうが良いのかそのままにしておいていいのか悩んでしまうこともあるでしょう。
あとで理由は詳しくご紹介しますが、犬が人の顔を舐めるのは基本的にやめさせたほうが良いです。
特に家族以外のお客様の顔であったら余計にやめさせるようにしましょう。
犬が顔を舐める理由についてもあとで解説をしますが、犬にとって人の顔を舐めるのは悪い感情ではなくむしろ良い感情である場合が多いので、やめさせ方を間違えてしまうと犬の心を傷つけてしまう恐れがあるので注意が必要です。
犬は、自分で経験したことから解釈をして学んでいくので、「やめさせる」という方法も、誤った方法でしてしまうと、こちらが意図しない学び方をしてしまい、予想外のストレスをかけてしまいます。
それでは犬が人の顔を舐めるのをやめさせるにはどうするかというと
- 信頼関係をしっかりと築く
- 遊びの時間を作る
この2つさえしっかりと押さえておけば、犬に謝った学び方をさせることなく顔舐めをやめさせることができます。
なぜこれが大切なのか?具体的にはどうしたら良いのかについてそれぞれ詳しく見ていきたいと思います。
信頼関係をしっかりと築く
犬と信頼関係を築くのは、顔舐めに関してに限ったことではなく、犬を飼っているなら確実に築いていないといけないことなのはご存知だと思います。
ちょっと前までは、犬は順位付けをするという考えから上下関係を教えることが大切だと言われてきましたが、世界的に見ても上下関係を重視する考え方ではないのがスタンダードです。
信頼関係と表現していますが、本来の意味で解釈してもらえるのなら「主従関係」と言いたいところですが、主従関係という言葉は上下関係と同じ意味で使われたりしているので信頼関係と言わせていただいています。
犬と信頼関係を築けていると、犬は飼い主さんの指示を最優先で喜んで従うようになります。
これはどうしてかというと、日ごろから飼い主さんは頼りになる存在だと信頼しているので、飼い主さんの指示に従っていれば人間社会でも安全で安心して過ごしていられるということを分かっているからなんですね。
犬が人の顔を舐めようとしたときに、飼い主さんが「おすわり」または「フセ」のコマンドを出し、愛犬がすぐに従えたとしたら、飛び付いて人の顔を舐めることが事実上できなくなります。
オスワリやフセをしている間に、愛犬の興奮も落ち着いてきますし、コマンドに従えたことを褒めてあげられるので、犬を拒絶するわけではなく顔舐めをさせないようにすることができます。
でも、信頼関係が築けていない状態でコマンドをかけたとしたらどうなるでしょうか。
犬にとって、言われたコマンドをすることはおやつをもらうためのような「芸」の一つになってしまうので、犬の気分次第でやったりやらなかったりということが出てきます。
多くの場合、歓迎やうれしいの意味がこもっている場合の顔舐めは興奮状態にあるので、「芸」としてのオスワリやフセだと興奮が勝ってしまって飼い主さんのコマンドが耳に入らない状態と思ってもらって良いです。
だから、飼い主さんが一生懸命「オスワリ!」「オスワリ!!」と言っても、コマンドで犬をコントロールすることができません。
また、信頼関係が築けていると、飼い主さんの「ダメ」という禁止用語が有効になるので、犬に「人の顔を舐めるのは正しい行動ではないんだよ」ということを伝えられるようになります。
よく、「犬がいけない行動をしたときにしっかりと低い声でダメと言いましょう」と書かれているのを見受けますが、信頼関係ができていないのにダメでやめさせようとするのは結構難しいです。
犬に「飼い主さんが怒っている!これから怖いことが起こるかもしれないから不安だなぁ」という気持ちにさせてやっていた行動をやめさせただけなので、いけない行動だったことが上手く伝わっていない可能性が高いです。
しかも、頼りになるはずの飼い主さんに対して不安な気持ちや怖い気持ちにさせているので、飼い主さんを信頼するという気持ちにできなくさせてしまいます。
私たち人間目線で考えると、「いやいや、そんなに強く怒ってないよ」「そんな怖い思いはしてないでしょう」と思うかもしれません。
身近で例えるなら、まだあなたが幼いころにお母さんに激怒されたら、反省とか何が悪かったのかを理解するよりも前に、とにかく怖いと思ったと思います。
犬に「ダメ」などの禁止用語で行動をやめさせるということは同じことが言えるので、犬も恐怖を感じていることを理解しておかないといけませんし、それだけストレスを与えていることも覚えておいてもらう必要があります。
それではどうやって信頼関係を築けばいいのかについてですが、
- 犬という動物を理解する
- 信頼関係を築くことを重視したトレーニングを行う
要は正しい方法でしつけを行っていくということです。
正しいしつけの方法を知るというのは、ネット上でわからないことずつ調べているとトータルで知ることができない断片的なものになる上、正しい方法かどうかも怪しいものがあふれているので難しいでしょう。
このような独学でしつけを行っているとどこかでひずみが出てきたリ、相性の悪い方法を組み合わせてしまうのでおすすめはできません。
できれば、犬という動物を理解するための座学のような飼い主さんに対する講習がついているしつけ教室などをお探しいただければ、犬を理解しながらトレーニング方法を学べるのでわかりやすいと思います。
断言はできませんが、講習もしてくれるようなしつけ教室であれば、愛犬へのトレーニング方法も信頼関係を築きやすいものである可能性があります。
ただしつけ教室のデメリットでもありますが、実際は問題行動の治し方だったり、一般的なトレーニング方法を教えているところが多いですし、そもそも飼い主への講習があるしつけ教室自体が少ないです。
しかも複数人で教えてもらう形なので、自分や愛犬のペースで行うことができずに、トレーニングについていくだけでいっぱいになる場合もあります。
しつけ教室で一定時間拘束される形になるので、時間も必要ですし、高額になりやすいので費用面もデメリットとしてあげられるでしょう。
でも、確実性が高く、わかりやすく、すぐに質問ができるというメリットがあるので、正しいしつけの方法を知るにはしつけ教室にご参加いただくのが良いと思います。
もしも、時間も取れないし、近くに講習もついているような良いしつけ教室が無いという場合は、下の記事でご紹介している方法もあるので、良かったらご覧になってみてもらいたいと思います。
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遊びの時間を作る
現在、愛犬と遊ぶ時間を作っていらっしゃるでしょうか?
お散歩とは別で、一人遊びをさせるのではなく飼い主さんが一緒に楽しく犬と遊ぶ時間です。
時間的にはたくさんの時間ではなく、30分くらいでもかまいませんが、飼い主さんがアクティブに動いて一緒に遊んであげる時間というのを是非作ってもらいたいと思います。
犬というのは、とても遊びが大好きで、しかも飼い主さんと一緒に遊ぶ時間がとても幸せを感じる時間になります。
この遊びを通して、飼い主さんに愛情を感じ、飼い主さんの愛情も感じますので愛情欲求が満たされるんですね。
愛情欲求が満たされていると、必要以上にかまってもらいたがることも少なくなりますし、精神的にも落ち着きが出て、興奮することも減り、執拗な愛情表現をする必要がなくなります。
意外とこの一緒に遊ぶことができていない飼い主さんが多く、お散歩に行くことで十分だと思っていました・1人で遊ばせている時間が多かったですというお話をよくうかがいます。
遊び方も本当は正しい方法を知って遊んでいただきたいですが、毎日遊ぶ時間を作っていなかったという方は今日からでも一緒に遊ぶ時間をとっていただきたいと思います。※先ほどご紹介した記事の方法だと、正しい遊び方についても詳しく解説されています。
この犬と遊ぶ時間を作るようになったら、「愛犬の性格が変わった気がする」「すぐ興奮するのがおさまるのが早くなった」など、これだけでもかなり愛犬が変わったという飼い主さんのお喜びの声を伺いますので、ぜひ取り入れてみてもらえればと思います。
愛犬にしてはいけない方法
今までは愛犬との関係を良くしながら顔を舐めるのをやめさせる方法についてご紹介しましたが、とりあえず今日はお化粧を崩されたくないからなめさせたくないといった即効性のある方法もあります。
これは信頼関係などは一切考えていない方法ですが、一番簡単なのは立ち上がって物理的に届かないようにして舐めさせないという方法です。
ただこれだと、また飼い主さんが座って届く距離になると顔を舐めようとする可能性がありますし、お客様だといちいち立ち上がってもらわないといけないので、根本的な解決にはなりません。
立ち上がる以外には、舐めようとしたときに息を吹きかけると、嫌がって舐めないようになるという方法もあります。
この方法は嫌がらない犬であれば効果はありませんし、犬を拒絶している方法なので、飼い主さんが愛犬にするのはおすすめできません。
ただ、お友達の家の犬に舐められて困るという場合は、舐められる前にふっと息を吹きかけてみるなど試してみても良いかと思います。
犬が顔を舐めるのをやめさせる時にしてはいけない方法というのは
- 叱ること
- 許しちゃうこと
- 笑いながら対応すること
この3つです。
叱ることについては先ほども少し触れたように、犬は良い感情を持って顔を舐めようとしているのに飼い主さんに叱られてしまったら、犬は混乱します。
顔を舐めることがいけないと理解してもらいたくて叱るのだと思いますが、犬は飼い主さんに良い感情を持つことを叱られたと勘違いする可能性も十分あるんですね。
人間が考える常識と犬が考える常識は全く違うので、「そうなるの!?」という理解の仕方をしてしまうことがとても良くあります。
まず顔を舐められるのをやめさせるために叱るのは良い結果にならないのでやめてもらいたいと思います。
せっかく犬が良い感情を持って顔を舐めているんだからいいじゃない!と思って許してしまうという方も多いですが、許しちゃこともおすすめはできません。
ただこれは飼い主さんのお考え方なので、舐められるのが好きだというのであれば仕方ありませんが、衛生面で考えるとあまりよくないということは覚えておいていただきたいところです。
最後の笑いながら対応することは、舐められるとくすぐったいですし、「そんなに一生懸命になって」と思うと笑ってしまうかもしれませんが、そうすると犬は相手が喜んでいると思うので、どんどんエスカレートするかもしれません。
これも犬に間違えた学習をさせてしまう原因になるので、笑いながらやめさせようとしないで、犬にわかりやすく伝わる対応をしてもらいたいと思います。
犬と信頼関係を築く重要性について
顔を舐めることをやめさせるためにも犬とは信頼関係を築く必要があることをお伝えしました。
信頼関係を築くことで、芸ではなくコマンドに必ず従えるようにしておくということでしたね。
犬は人間社会で人間のルールに従わないといけないため、色々な制約を受けています。
犬のルールでは正しいことをしていたとしても、人間のルールで正しくないことなら飼い主さんに叱られたり、ダメ!と言われたりしています。
犬も無理に力でねじ伏せようとしたり、体罰を与えたり、叱って直そうとすると反発する心を持つようになってしまいます。
犬をしつけるというのは、人間の言う通りにさせることではなく、犬が人間社会でのびのびと安心して暮らせるようにルールを教えてあげることです。
犬は飼い主さんの指示に従っていれば褒めてもらえるし、安心していられると思えれば、人間社会の制約を受けないで済むようになり、快適に生活をしていけるんですね。
飼い主さんが頼れない状況というのは、犬が常に不安を感じている状態といえるので、慢性的なストレスを受けながら生活をするようになります。
慢性的なストレスは人間でも厳しいですが、犬も心の病気にさせやすくしますし、問題行動を起こしやすくしますし、犬の寿命も縮めてしまう可能性が高まります。
※慢性的なストレスは免疫力を低下させるため、病気やがんになるリスクを上げます。
犬がストレスを感じることなく、飼い主さんを頼りにし、人間社会でのびのび生活をさせるためには、正しいしつけを行って信頼関係を築くことが一番重要なことです。
正しいしつけの方法を知って行わないと、犬にしてほしい行動が伝わりにくくなるので、一生懸命しつけをしていたとしてもなかなか成果が出ず、お互いに挫折してしまうケースが本当に多く非常に残念に思います。
せっかくこれをお読みいただいているあなたには、覚えるまでに時間がかかってしまう方法ではなく、犬が早く理解して覚えられるように正しいしつけを実践していただきたいと思っています。
今、少しでもしつけに対して自信が持てないということがありましたら、先ほどご紹介した記事をご覧いただければ、見違えるようなお利口犬にしてあげることができますので、ご興味をお持ちいただけたらご覧になってみてください。
エリちゃん
わんこ先生
それでは次に、どうして犬は顔を舐めたくなるのかその理由についてご紹介していきましょう。
犬が人の顔を舐めるのは何故?
犬が人の顔を舐める時は良い感情を持っていることが多いとお話してきましたが、実際にはどんな気持ちで顔を舐めたがるのかをご紹介していきたいと思います。
犬が顔を舐める時は、飛び付いて激しく舐める舐め方と、ペロン、ペロンと舐めるような舐め方があると思います。
激しく舐める時は
- お腹がすいている
- 犬からの愛情表現
- いい匂いがする(舐めて美味しかったことがある)
- 間違えた学習をした
この4つの理由が考えられ、ペロン、ペロンと舐める時は
- 敬意を示している
- 甘えたいという気持ち
- 不安を感じている
これらの気持ちであることが考えられます。
犬が人の顔を舐めやすいのは子犬の時が多いですが、もちろん成犬になってからも上記のような理由で人の顔を舐めようとします。
飼い主さんのお考えがありますが、犬が人の顔を舐めるのはできるだけやめさせるようにしたほうが良いのは間違いありません。
ただ、例えば犬が愛情表現として顔を舐めているのに、怖い顔をしてダメ!と叱ったり、拒絶するような態度を見せると、犬も拒絶されたことが分かりますから寂しさを感じ、信頼関係に悪い影響が出る可能性があります。
信頼関係を壊さないで対処するために、犬同士(母犬と子犬)のなめる事情を見てお行きたいと思います。
まずはは犬が子犬を舐めるのは、綺麗にしたり排泄を促したり血行を良くしてあげるためなど、子犬をお世話する目的で舐めることが多いです。
他にも、子犬が興奮しているときなどに、子犬を落ち着かせるために舐めることがありますが、これは母犬に舐めてもらうことで気持ちが安定するからだそうです。
子犬は母犬に舐めてもらうことで、ストレスが軽減されるそうですから、愛情を感じてオキシトシンなどの脳内ホルモンが分泌されているのかもしれません。
逆に子犬が母犬を舐める理由ですが、古い野生時代の名残からが考えられます。
オオカミの子供は、母親の口元を舐めて食べた獲物を吐き出してもらいそれを食べるという習性があります。
子の名残で、お腹がすいていることを知らせているという意味もありますし、獲物をとらなくてもよくなった背景からただ単に母親に甘えていたり親愛の情を示している行動のようです。
そもそも犬は相手の顔を舐めることでも、コミュニケーションをとっていたことが分かりますね。
それでは私たち人間に対して顔を舐めている時の理由をもっと具体的にわかるように、舐め方に分けてみていきたいと思います。
激しく舐める時
犬の食に関する関心は個体差があるので、小食の犬もいれば食いしん坊の犬もいます。
食べることが大好き!いっぱいご飯が欲しい!という犬であれば、お腹がすいているまで行かなくても食べるものを催促する気持ちが顔舐めにこもっていることはあるでしょう。
でも一番多い気持ちとしては、飼い主さんに対して大好きという気持ちが爆発している時です。
大好き!嬉しい!楽しい!などの気持ちが爆発して興奮してしまったときなどは、特に激しく飼い主さんの顔を舐めようとします。
また、犬はあまり味覚が発達していませんがその分嗅覚が発達しているので、飼い主さんからおいしそうなにおいがしていたら、一生懸命に舐めてしまうでしょう。
犬は甘い、辛い、しょっぱい、酸っぱい、苦いという5つの味を感じることができ、その中でも甘いとしょっぱいものは好みます。
犬は元々雑食で野生の果物なども食べていたため、特に犬が好きなフルーツを食べた後などはその香りが残っているため好んで舐めようとします。
また、過去に飼い主さんの口元を舐めたらおいしい味がしたなどの経験があると、それを覚えていて舐めようとすることもありますので、お食事後はお口の周りを綺麗にしてから愛犬と戯れるようにしましょう。
最後の間違えた学習をしたという部分ですが、先ほどのしてはいけない方法で触れた「笑いながら対応する」ことがあった場合、犬は相手が喜んでいると間違えた学習をしてしまいます。
笑うほかにも、逃げたり、大声を出したり、人が興奮して接すると、犬はかまってもらえたことに喜びを感じてしまい、顔を舐める行動が正しいと間違えてしまいます。
激しく顔を舐めようとしてきた時は、顔を舐めるよりも飼い主さんのコマンドに従って褒めてもらう方が嬉しいと思われるようにしないといけません。
飼い主さんはできるだけ興奮しないで冷静な対応をすることと、コマンドはオスワリよりも興奮が冷めやすい「フセ」が必ずできるようにトレーニングをしておくことが大切です。
ペロン、ペロンと舐める時
犬は基本的に嫌いな相手の顔を舐めることはありません。
興奮して舐めている状況ではないときに人の顔を舐めようとしたときには、相手に敬意をして示していて、挨拶をしている意味合いがあります。
「よろしくお願いします」とか「仲良くしてください」といった気持ちが考えられます。
これは群れで生活しているときから行われていたことで、目上の犬に対して近寄っていき、顔を舐めて挨拶をするという習性の名残でしょう。
もっと近い存在と認識している相手なら、甘えたいという感情が沸き上がっていることも考えられます。
頭や体をなでてほしい!ぬくもりを感じたい!という思いからお母さん替わりのように考えて甘えているのかもしれません。
ただ興奮しているわけでもないのにしつこくペロペロ舐めようとしてきた時は、なだめ行動をしている可能性もあります。
精神的に不安を感じたり、緊張しているときなどに、自分を落ち着かせるために相手を舐めることがあります。
飼い主さんが夫婦喧嘩をしている時や家族で喧嘩しているときなどに、間に割って入ろうとしたり、飼い主さんの顔を舐めようとすることがあります。
ケンカの状況になっている環境に対して犬は不安を感じ、これから何が起こるだろうと緊張をします。
そんな自分を落ち着けるためになだめ行動をとりますが、興奮している飼い主さんを落ち着けるためにもなだめる行動をします。
これはカーミングシグナルという犬のストレスを感じているサインでもありますので、犬が不安になったり緊張する状況をできるだけ早く取り除けるようにしてあげてください。
エリちゃん
わんこ先生
犬が人の顔を舐めるのをやめさせる理由
かわいい愛犬からの愛情表現なんだから、顔を舐めることはやめさせなくても良いとお考えになる飼い主さんもいらっしゃいます。
それも決して悪いことではありませんし、否定する気はありません。
ただ、飼い主さんは愛犬家なので良いですが、来てくれたお客さんに対しては、お客さんの顔をペロペロ舐めさせるのはどうかと思いますので、コントロールができるようにしつけをしておく必要はあると思います。
あと、やはりデメリットの部分というのがあるんですね。
- 飛び付く癖になる恐れがある
- 病気がうつる恐れがある
というこの2点です。
嬉しくて興奮している気持ちを自分でなだめようとしないですぐに表現することを許していると、嬉しい!楽しい!という気持ちのたびに相手に飛び付いてしまう癖がついてしまうことがあります。
小型犬のしかもまだ子犬であればたいしたことにならないとお考えになるかもしれませんが、大型犬の成犬だったら相手を倒してしまうくらいの力があります。
犬を飼う以上、大型犬だから小型犬だから何かしつけが変わるということはありません。
大型犬がしたら危険になることは小型犬でもさせてはいけないことです。
過去にあったことですが、小型犬が道に立っていたおばあさんに急に飛び付いてしまって、驚いたおばあさんが転倒し骨折をしてしまったので、慰謝料を請求されたというお話を実際に聞いています。
おばあさんのご家族には激しく責められたし、何度も入院されている病院に行って謝罪もされましたが、医療費も全額負担ですし、慰謝料も入れるとかなり高額になってしまったんだそうです。
愛犬をコントロールするのは飼い主さんの務めですから仕方ありませんが、お話をしてくださった方のようなこともありますので気をつけていただきたいと思います。
どちらかというと深刻なのは、病気がうつる恐れがあるという点でしょうか。
「人獣共通感染症(ズーノーシス)」や厚生労働省では「動物由来感染症」(厚生労働省ホームページ)と呼ばれる犬から感染してしまう病気というのがあります。
これらの感染症は、犬に持ダメージがあったりはっきりとした症状があらわれていることもありますが、犬は全く無症状のものもあるので注意をしようとしても難しいです。
しかも病気のうつり方もそれぞれで、噛まれたり傷から感染するほか、便や尿から感染源が人に移ってくることが多いです。
犬は犬同士のあいさつでお尻のにおいを嗅いだり、相手のお尻を舐めることもありますし、自分のお尻に違和感を感じると自分のお尻も舐めます。
メスがヒート(発情)すると生理のようなものがありますが、それも舐め取ってしまうので、ヒートが来たことに気付かないこともあります。
このように、犬の口や鼻まわりに便や尿から感染源がついていることも考えられ、その状態で人の顔を舐めてしまったら人への感染が拡大します。
どんな病気があって、人に感染するとどのような症状が出るのかお伝えしておきたいと思います。
狂犬病(ウイルス)
ウイルスを保持している動物に噛まれることによって感染
狂犬病の症状が出てしまった人間の100%が死亡し、病気の治療法がないという恐ろしい病気です。
1か月くらいの潜伏期間ののち、興奮・錯乱・麻痺のほか、極度に水を怖がるようになり数日後に呼吸困難で死亡します。
現在日本では狂犬病のワクチンを摂取することを義務ず蹴られていることもあり感染者はいませんが、フィリピンやインドなどでは年間数百人から1万人が感染しているまだまだ恐ろしい病気です。
Q熱(リケッチア)
糞尿や羊水に病原体が含まれているため、ペットの出産時に感染することがある
人間が感染しても発症は50%程度と言われています。
発症すると、インフルエンザに似た高熱や悪寒、筋肉痛などの症状が出て、肝炎症状を起こしたり心内膜炎を伴う重症例もあります。
<細菌による感染症>
パスツレラ症(細菌)
引っ掻かれたり噛まれたりして感染
犬の口の中に常在している菌が原因となっているため犬の方は無症状です。
傷口が腫れ上がるほか、気管支炎や肺炎などを起こす場合があります。
細菌性腸炎(細菌)
犬の便や尿に含まれていた細菌が人間の体内に入ると感染
サルモネラ菌・カンピロバクター菌といった細菌が体内に侵入し腸で炎症を起こします。
激しい腹痛や発熱、嘔吐や下痢の症状があらわれます。
レプトスピラ症(細菌)
犬の便や尿に含まれていた細菌が人間の体内に入ると感染
人間の体内に入ると、発熱・頭痛・筋肉痛・嘔吐・出血・黄疸などの症状があらわれます。
場合によっては腎不全になることもあります。
ブルセラ症(細菌)
感染犬の尿や精液・織物などから感染 流産した胎仔に触ることも危険
人間が発症すると、妊婦であれば流産の恐れもあります。
その他に、インフルエンザの時のような悪寒や発熱、頭痛、筋肉痛などの症状があらわれます。
<寄生虫病>
寄生虫病の場合は、主に便の中に病原体が出てくるので、その病原体を飲みこむと感染します。
トキソプラズマ症(寄生虫の一種)
通常は無症状だが、まれに目や脳の炎症を起こす場合があります。
ただし、妊婦が感染してしまうと、新生児の先天性障害を起こす場合があるので要注意です。
エキノコックス症(寄生虫)
数年から数十年の経過を取り、悪化するまでは無症状です。
肝臓に寄生するため、肝機能障害を主とする症状を示し、治療は外科手術による寄生虫の摘出しかありません。
北海道は全域が汚染地域となっているので、沢水などを飲むことも危険な行為になります。
回虫症(寄生虫)
肝臓が腫れたり、発熱や咳などの症状があらわれます。
鞭虫症(寄生虫)
寄生している数が少ないうちは腹痛や下痢の症状がみられます。
数が増えると症状も重くなり、体重減少や貧血などの症状も出てきます。
フィラリア症(寄生虫)
こちらは便の中の寄生虫によるものではなく、蚊を媒介にして人間に寄生することがあります。
通常は人間の免疫でブロックされますが、免疫力が落ちているときなどは咳や発熱、皮膚の下にこぶができるなどの症状があらわれます。
犬からの感染を防ぐための注意
人獣共通感染症に感染しないためには、一般の風邪に移らないための予防策である
- 手を洗う
- 犬の清潔を保つ
- 犬に予防注射をする
これらのことで予防することはできますが、犬に顔を舐められてしまうと上記のような予防対策をしたとしても感染するリスクは上がってしまいます。
特に犬がたくさんいるお散歩コースを通ったり、土手や草むらのような他の動物も通るような道で、においを嗅がせてあげる場合などは、他の犬や動物の便や尿がある可能性があります。
顔を舐めらせてあげても良いとお考えの飼い主さんはこれらの病気になる危険が非常に高いことを覚えておいていただき、顔舐めの他の方法で、愛犬との愛情表現をしてもらえればと思います。
犬が人の顔以外を舐める時の気持ち
犬は飼い主さんの顔以外の場所を舐める時も、気持ちを表現しています。
主に、手や足などを舐める場合が多いと思いますが、これは
- 遊びに誘っている
- 刺激的なにおいが気に入った
- 服従の気持ちを表している
このような気持ちを抱いています。
手や足を舐めるほかに鼻先でつんつんと突っつくしぐさがあったら、飼い主さんととても遊びたがっていますので、おもちゃを与えるだけでなく、飼い主さんが一緒に遊んであげると飼い主さんの事が余計に大好きになります。
また、お父さんやおじいちゃんを好んで舐める犬もいます。
一説には加齢臭が気に入っているからとも言われていますが、独特のにおいや刺激的なにおいを好んで舐めていることも考えられます。
犬は、手のにおいを嗅いでいる時はその人を調査しているときで、手を舐めたら「あなたに服従するから仲良くしてください」という意味があります。
できるだけ犬が警戒を解くまで思う存分においを嗅がせてあげると、犬も安心して仲良くなりたいと思ってくれるようです。
ただ、犬を抱きかかえている時にあなたの手をペロッとなめたときは、また少し意味合いが違ってきます。
「もう下におろしてほしい」「自由にさせてほしい」とお願いしているサインなので、抱っこしている時に手を舐められたらすぐに下におろしてあげてください。
手や足ではなく、人間の体の他の部分を舐める場合もあります。
これはイギリスなどで既に研究されているそうですが、糖尿病や腫瘍のにおいを感知して気になるにおいに反応している可能性もあります。
がん検知犬としての研究もされているようですので、もしも愛犬が体の一部をよくなめるなどの行動が見られたら、飼い主さんの体調を考慮して思い当たることがあったら病院へ行ってみても良いかもしれません。
犬が自分の手や体を舐める時の気持ち
最後に、飼い主さんを舐めるのではなく犬が自分の手や体を舐める時の気持ちもご紹介しておきたいと思います。
犬はなめることでグルーミングをするので、普通に舐めている場合は問題ではありません。
しかし、愛犬が自分の前足や体の一部を舐め続けているときは、痛みやかゆみなどの違和感を感じているか、寂しいなどのストレスを感じていることが多いです。
犬の舌はざらざらしているので、一か所を舐め続けるとその部分が脱毛し、皮膚が炎症を起こすようになります。
犬が体を舐め続けていたら、その部分を確認して、動物病院を受診して病気などが原因ではないか確認してもらいたいと思います。
病気が原因でない場合は、かなりのストレスを感じていると思ってください。
犬はストレスが長期化したり重症化すると心の病気になってしまいます。
その中でも、強迫性異常症という病気は体の一部を炎症が起きるほど舐める自傷行為をすることがあります。(その他の症状として、尻尾を追いかけてグルグル回ったり、意味のない行動を延々と繰り返すなどがあります。)
これはストレスからの逃避行動ですので、ストレスになっているものを見極めて取り除いてあげるのが一番の治療法です。
寂しさからくるストレスを感じていたとしたら、犬としては人間が思っている以上に酷な状態です。
愛情を感じられるように、先ほどもお話しした「遊びの時間」を多めにとってあげて、トレーニングを通して褒めることも忘れないようにすることを心がけてもらうと症状が緩和してきます。
あまりに症状がひどい場合は抗うつ剤などの投与もありえますが、できるだけ薬に頼らないで飼い主さんの愛情で直してあげることが一番の病気になります。
犬が顔を舐めるのをやめさせる方法を見てきましたが、最後にもう一度顔舐めではない方法で信頼関係を築いて愛犬との愛情を確認してもらいたいと思います。
子犬の時にはしつけを意識することも多いですし、褒めるのも一生懸命される方が多いですが、犬のしつけは成犬になっても続きます。
普段から繰り返しトレーニングを行い、できたときにはちゃんと褒めてもらえることが犬の喜びであり、飼い主さんを頼って安心して暮らせる状態が犬の幸せです。
愛犬の安全のためにも、いつでも愛犬のコントロールができる飼い主さんでいてもらえるように、正しいしつけの方法で犬を導いてもらいたいと思います。